【1月3日 AFP】ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)が捉えた棒渦巻銀河「NGC 1097」と、その中心部をリングのように取り囲む星形成領域の画像。掃天観測用高性能カメラ(Advanced Camera for Surveys)で撮影された。渦巻状の腕の部分はうっすらとしか写っていないが、銀河の中心を緩やかに囲んで画面の外まで延びている。

 地球から4500万光年離れた南天の「ろ座」に位置するNGC 1097は、天文学者にとっては非常に魅力的な観測対象だ。「セイファート銀河(Seyfert galaxy)」という種類に分類され、中心に太陽の1億倍もの超大質量のブラックホールが潜んでいて、周囲の物質を少しずつ飲み込み続けている。

 ブラックホールの周囲は、吸い込まれる物質が発する放射線や電離水素ガス雲からの放射で強烈に明るく輝いている。この光り輝くリング状の部分では、銀河中心の棒状構造に物質が流れ込むことによって新たな星が次々と生まれている。

 リングの直径は約5000光年だが、渦巻状の腕はさらに数万光年先まで広がる。NGC 1097では1992年~2003年の11年間に3回の超新星爆発(高質量の星の死に伴う大規模な爆発)が起きている。

 NGC 1097には2つの伴銀河がある。中心から4万2000光年離れた楕円(だえん)銀河「NGC 1097A」と、矮小(わいしょう)銀河「NGC 1097B」だが、いずれも画面には写っていない。天文学者によれば、NGC 1097とNGC 1097Aは過去に相互作用していたとみられるという。(c)AFP/ESA/NASA