【12月25日 AFP】(一部更新)米科学誌サイエンス(Science)は20日、科学における今年の10大成果を発表し、質量の謎を説明する見えない粒子「ヒッグス粒子(Higgs Boson)」の存在が確認されたことを1位に挙げた。

 2位以下(順位なし)には以下の業績などが挙げられた。

■新技術によるデニソワ人の全ゲノム解読

 ドイツの研究チームは、シベリアの洞窟から発見された約8万年前の指の骨から得られたわずかなサンプルを基に、「デニソワ人(Denisovans)」と呼ばれる謎の古代人類の全ゲノムを新しい技術を用いて解読した。デニソワ人については、ネアンデルタール人と同時代に存在した現生人類の「いとこ」にあたるもう一つの種であること以外、解明されていない。

■iPS細胞から卵子を作製、マウス誕生

 日本の研究チームが、マウスの細胞から作ったiPS細胞を用いて卵子を作製した。自然に卵子を作ることができない女性の細胞から試験管内で卵子を作り、それを卵管に移植する技術の可能性に期待が高まる。

■キュリオシティーが火星に着陸

 米航空宇宙局(NASA)の火星探査車キュリオシティー(Curiosity)が火星に無事着陸した。着陸にはホイールを出した状態のキュリオシティーを「スカイクレーン」で吊り下げ軟着陸させるという画期的なシステムが採用された。「完ぺきな着陸ができたことで、NASAがいつか2台目の探査車を近くに着陸させ、以前の探査車が採集した試料を地球に持ち帰らせる可能性が保証された」とサイエンス誌は評している。

■ヒトゲノムの8割がDNAスイッチに関連

 人間の生物的機能に影響を及ぼす遺伝子上のスイッチのオン、オフの切り替えにヒトゲノムの8割が関与していることを、DNA研究の国際プロジェクト「ENCODE」が突き止めた。疾患の遺伝的危険因子の把握などに役立つことが期待される。

■ブレーン・マシン・インターフェース

 まひのある人が「想念」によって、義肢を操作することを可能にする「ブレーン・マシン・インターフェース」(BMI)。脳卒中や脊髄損傷などによって体がまひした患者にとって有望な実験的技術だ。

■「最後のニュートリノ振動」発見

 ニュートリノとして知られる素粒子が光速に近い速さで移動する際の変化を表す「ニュートリノ振動」のうち、未知だった最後のニュートリノ振動を中国のチームが発見した。今回の発見でいつの日か、地球上には多くの物質がある一方で反物質はほとんどない理由の解明にニュートリノ物理学が役立つかもしれない。

(c)AFP