【8月20日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は17日、火星探査車キュリオシティー(Curiosity)の火星の探査ルートを発表した。

 キュリオシティーはまず、水の痕跡が見つかる可能性がある最終目的地のシャープ山(Mount Sharp)の逆方向に進路をとり、NASAのジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)が「グレネルグ(Glenelg)」と呼ぶ地域へ向かう。

 キュリオシティーの最初の中距離目標地点となるグレネルグは3種類の地形が交差する場所で、着陸地点からおよそ500メートル離れたところにある。明るい色合いの地帯は「今後のキュリオシティーによる掘削に適した岩盤」。小型のクレーター群は「古く、硬い地表」の可能性がある。もう1つの地形は、キュリオシティーが地表を吹き払う前の着陸地点の地表と類似している。

 グレネルグという単語を選んだのは「Glenelg」が前から読んでも後ろから読んでも同じように読める回文だから。キュリオシティーはグレネルグ到着後、そこまでの進路を逆行してシャープ山に向かうことになる。

 マーズ・サイエンス・ラボラトリー(Mars Science LaboratoryMSL)プロジェクトの科学者、ジョン・グロッチンガー(John Grotzinger)氏は、グレネルグ到着にかかる時間を3週間から2か月と推計する。キュリオシティーは現地に約1か月とどまってからシャープ山に向かう。

 専門家らによると、キュリオシティーが着陸地点から20キロ離れたシャープ山に到着するのは1年後になる可能性もある。

■最終目標地点、高さ4800メートルのシャープ山

 キュリオシティーは、シャープ山の中腹、高さの半分ほどまで進む予定。高さ3マイル(約4800メートル)のシャープ山には10億年前の地層が残っている可能性がある。

 キュリオシティーが着陸地点から撮影したシャープ山の麓の写真には「1~3階建ての建物の高さでそびえる丘やビュート(孤立した丘)、メサ(テーブル上の台地)、渓谷」などが映っている。

 写真下部に映った麓の地域には含水鉱物が濃縮されて存在している可能性があり、科学者らは、その鉱物から「この地域の地理的な歴史が明らかになる」ことに期待を寄せている。

 NASAは、シャープ山の頂上をとらえた写真を「今後1~2週間以内」に撮影する計画だ。

■火星の気温は「0度近く」、30年ぶりに測定

 30年ぶりの火星の温度測定をゲール・クレーター(Gale Crater)で実施した結果、気温は0度をわずかに上回る程度だった。

 グロッチンガー氏は、1982年にバイキング1号(Viking 1)と地球の通信が途絶え「最後の長期気候観測基地が火星に存在しなくなってから、ちょうど30年になる」と述べ、今回の気温測定について「火星の科学にとって非常に重要な指標」と語った。(c)AFP