【7月16日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は10日、超新星爆発の衝撃波が星を包む繭(まゆ)状のガスを突き抜ける様子を初めて捉えたチャンドラX線観測衛星(Chandra X-ray Observatory)撮影の画像を公開した。この発見により、一部の超新星が他と比べてはるかに大きいエネルギーを持つ理由の解明に向け一歩前進することが期待されている。

 地球から約1億6000万光年離れた銀河「UGC 5189A」に位置する超新星「SN 2010jl」は、2010年11月3日に発見された。米ハワイ(Hawaii)州にある全天自動捜索システム(All Sky Automated Survey)を用いたこれまでの観測結果から、2010年10月初頭に爆発したと断定されている。

 今回公開されたUGC 5189Aの合成画像では、チャンドラのX線データは紫色、ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)の光学データは赤・緑・青で示されている。銀河の上部で強いX線を放ち輝いているのがSN 2010jlだ。

 この超新星からのX線を分析したところ、全く別のX線源がほぼ同じ場所にあり、それぞれから放出されるX線が重なり合って地球まで届いていることが判明した。このような偶然の一致は極めて珍しいという。

 2番目のX線源は超大光度X線源とみられており、非常に質量の大きな恒星ブラックホール、あるいは中質量ブラックホールの可能性があるという。(c)AFP