【7月13日 AFP】オーストラリア東海岸の海に生息するコウイカ目の一種、モーニング・カトルフィッシュ(mourning cuttlefish)の雄が雌に求愛する際、ライバルの目をくらますため身体の半分を雌と似た模様に変えることが明らかになった。雄が交尾のチャンスを増やすためだという。

 シドニー(Sydney)のマッコーリー大学(Macquarie University)の行動生態学者クルム・ブラウン(Culum Brown)氏らの論文によると、雄は求愛行動をとるときに遠くからもよく目立つ鮮やかな白黒のしま模様になる。一方、雌は薄茶のまだら模様で背景に溶け込みやすい。

 身体の半分を雌の模様にした雄は、残り半分に雄の模様を表示して雌に猛アタックする。

 ブラウン氏はこの珍しい求愛テクニックは生殖の可能性を高めるために編み出されたのではないかと語る。他の雄がいる方向に雌の模様を見せて目立たないようにしておきながら、お目当ての雌がいる方向に雄の模様を誇示することができるからだ。もし全身がよく目立つ雄の模様だったら、その近くに雌がいると気づいた別の雄がやってくるかもしれない。

 こうした模様の使い分けをするのは近くに他の雄が1匹だけいるときだけで、雌と1対1のときや複数のカトルフィッシュがいるときには起きないという。「オスやメスが1匹以上いるときは、効果がある方向に体を向けるのは不可能だろうからね」(ブラウン氏)。

 論文は4日の英国王立協会(British Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)に発表された。(c)AFP