【5月11日 AFP】中米グアテマラの遺跡で古代マヤ文明の最古の暦が発見されたとする論文が10日、米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 同国シュルトゥン(Xultun)にあるマヤの住居跡の内部の壁に書かれていた象形文字を分析した結果、古代マヤ人の書記官が記録を残したり、「天文現象と聖なる儀式との調和」を模索したりするための計算式を書いていた可能性が高いことが分かったという。

 象形文字は9世紀のもので、これまで最古とされていた樹皮の本に記されたマヤの絵文書(1300~1521年)から見つかった暦よりも数百年古い。

 調査と発掘を指揮した米ボストン大学(Boston University)の考古学者、ウィリアム・サターノ(William Saturno)氏によれば、象形文字には365日周期の太陽暦のほか、584日周期の金星暦、780日周期の火星暦とみられるものも含まれていたという。

 サターノ氏は、これらの象形文字はまるで、複雑な数学の問題を解くために黒板に書いた計算式のように見えると話している。

■「世界の終末」裏付ける発見はなし

 一方で、マヤのカレンダーが終わる2012年に世界が終末を迎えるという有名な俗説を裏付ける証拠は見つからなかった。

 論文の共同執筆者、米コルゲート大学(Colgate University)のアンソニー・アベニ(Anthony Aveni)教授(天文学・人類学)は、2012年に終わりを迎えるのは暦の1周期に過ぎず、また新たな周期が始まるだけだと説明している。

 熱帯雨林の奥深くにあるシュルトゥン遺跡は100年ほど前に発見された。広さは31平方キロ程度でかつて数万人のマヤ人が暮らしていたとされている。

 今回の暦などが見つかった住居跡は2010年に発見されていた。慎重な発掘作業の結果、頭に羽飾りをつけた人物などを描いた壁画が発見され、マヤの住居の内部で見つかった初の芸術的遺物となった。

 サターノ氏は「シュルトゥンでこのような発見があったこと自体が珍しい。このような文字や壁画は、マヤの低地、特に地表からわずか1メートル下に埋もれた住居跡では良い状態で残らないことが多い」と話している。(c)AFP