【4月25日 AFP】米グーグル(Google)の幹部や映画監督のジェームズ・キャメロン(James Cameron)氏が支援しているベンチャー企業プラネタリー・リソーシズ(Planetary Resources)は24日、地球に近い小惑星から貴金属や水資源を採掘する計画を発表した。

 この大胆な計画は、米シアトル(Seattle)のパシフィックノースウェスト(Pacific Northwest)にある宇宙博物館で発表された。

 同社の顧問を務める元宇宙飛行士のトム・ジョーンズ(Tom Jones)氏は、「プラネタリー・リソーシズは、商業的イノベーションを宇宙探査に応用することを約束する」と述べた。「同社は、科学的調査と小惑星での経済的な資源開発を行うため、地球近傍小惑星(NEA)に高い頻度で送り込める費用効率の高いライン生産式宇宙船の開発に取り組んでいる」

 同社の支援者にはグーグルの共同創業者ラリー・ペイジ(Larry Page)最高経営責任者(CEO)や、エリック・シュミット(Eric Schmidt)会長らが名を連ねている。

■大量の資源に期待

 宇宙採掘ミッションを「開始する準備はできている」という同社は、この市場は将来数十億ドル(数千億円)規模に成長すると見込んでいる。長さ500メートルほどの小惑星1つに、これまでに地球で採掘された全量に匹敵する白金族金属が埋蔵されているという。

 新技術開発を支援するXプライズ財団(X Prize Foundation)の設立者でもある同社の共同創業者ピーター・ディアマンディス(Peter Diamandis)氏は、「地球で貴重とされている金属や鉱物の多くは、宇宙ではほぼ無限に存在している」と述べた。

「(宇宙にある)これらの資源の利用が増えるに従ってマイクロエレクトロニクスやエネルギー貯蔵のコストが下がることに加え、これらの資源を豊富に使えるようになれば、画期的な新しい利用法も出てくるだろう」(ディアマンディス氏)

■宇宙探査の足場にも

 プラネタリー・リソーシズは、水を豊富に含む地球近傍小惑星は、遠い宇宙を探査するための燃料・物資補給の中継地にもなるとしている。

 同社の共同創業者エリック・アンダーソン(Eric Anderson)氏は「水は恐らく宇宙で最も貴重な資源だ」と話した。「生命維持に加え、酸素と水素に分解することによって呼吸に必要な空気とロケット推進剤を生み出すことができる」

 プラネタリー・リソーシズは現在知られている地球近傍小惑星約9000個のうち、1500個以上は月への飛行に必要な量と同程度のエネルギーで到達可能だとしている。同社はすでに「Arkyd-100 Series」と呼ばれる宇宙船シリーズの第1号機の開発を終えている。

 同社の技術主任クリス・ルウィッキー(Chris Lewicki)氏は「われわれのミッションは世界の資源基盤を拡大することだけではない。性能と費用効率が高いシステムの開発を通じて、地球や太陽系の探査や理解に貢献したい」と述べた。(c)AFP