【1月31日 AFP】言語処理を司る脳部位がこれまで考えられていたのとは違う場所にあったとする研究結果が、30日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。医学書を書き換える必要があるという。

 1800年代後半にこの部位の存在を提唱したドイツの神経学者の名前にちなんだ「ウェルニッケ野」は、大脳皮質の後ろ側、音声を知覚する聴覚皮質の後ろにあると長らく考えられてきた。

 だが今回、米ジョージタウン大学メディカルセンター(Georgetown University Medical Center)のジョセフ・ラウシェッカー(Josef Rauschecker)教授(神経科学)のチームが、MRI(磁気共鳴画像撮影装置)かPET(ポジトロン放出断層撮影法)を用いて脳の言語知覚を調べた研究115本を分析したところ、ウェルニッケ野の新たな位置が判明した。実際は、3センチほど脳の前面に寄っており、聴覚皮質の後ろではなく前にあったのだ。

 ラウシェッカー氏は、「患者が発話できないか話が理解できない場合、脳のどこが損傷したのかに関してすばらしい手掛かりが得られた」と述べた。

 なお、霊長類も今回明らかになったのと同じ場所にある部位で言語を処理していることが分かっている。「人間と霊長類の間の(言語の)構造と処理は多くの人が考えているより似通っているかもしれない」とRauschecker氏は指摘した。(c)AFP