【1月23日 AFP】海藻は石炭や石油などの代替エネルギーとして大きな期待が寄せられているが、その糖類をエネルギーに変換するためのカギを解明したとする論文が、米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。

 研究を発表したのは米カリフォルニア(California)州バークレー(Berkeley)にあるバイオアーキテクチャー研究所(Bio Architecture Lab)の研究チーム。論文によると、研究者らは褐海藻に含まれる主要な糖類を全てエタノールに代謝する大腸菌を新たに開発した。この大腸菌は従来の微生物と異なり、海藻の主要糖類であるアルギン酸塩を代謝することが可能で、石油とコスト面で競争できる代替燃料製造の可能性を秘めているという。

 バイオアーキテクチャー研究所のダニエル・トルンフィオ(Daniel Trunfio)最高経営責任者(CEO)は「わが社の科学者たちは分解のための酵素を開発し、アルギン酸塩を代謝するための道筋をつけた。これによって海藻に含まれる主要な糖類を全て活用することが可能になる」と語り、このことにより「再生可能エネルギーや化学製品の生産において、バイオマスが経済的な原料になる」と述べた。

 同社の広報担当者は、同社は現在チリに養殖施設4か所を持っており、今後3年で「商用化に向けた次の段階として、微生物技術の規模を拡大する」ことを目指していると語った。

■バイオ燃料として期待集まる海藻

 海藻は、トウモロコシやサトウキビのように耕作地を必要とせず、食料用の農作物と競合しないことから、バイオ燃料の代替手段として期待されている。生産のピークでは、海藻は1ヘクタールあたり年間1万9000リットルのエタノールを生産できる。おおまかに言って、サトウキビを原料とするエタノールの約2倍、トウモロコシ由来のエタノールの約5倍の生産性だ。

 論文によると、世界の沿岸部の3%未満を使うだけで化石燃料600億ガロンを置き換えるだけの海藻を生産することが可能だという。

 この研究は、米エネルギー省高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency - EnergyARPA-E)、チリ経済開発公社(CORFO)のInnovaChileプログラム、ノルウェー石油大手スタトイル(Statoil)から資金を受けて行われた。(c)AFP