【1月19日 AFP】米国は17日、欧州連合(EU)が主導する宇宙における「行動規範」作りに参加すると発表した。この「宇宙活動の国際行動規範(International Code of Conduct for Outer Space Activities)」は、衛星の軌道投入時の規則を設定し、深刻化する宇宙ごみ問題の軽減も目指している。

 ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官は声明で、「宇宙環境は、宇宙ごみや無責任な者の行為によって重大な危険にさらされている」と指摘。「責任ある宇宙利用に向けた指針を策定することで、宇宙の長期的な持続可能性、安全、安定、安全保障が維持できる」と述べた。

 ただし同長官は、宇宙における国家安全保障関連活動や、米国および同盟国の防衛能力を制限するような規範内容には賛同しないとも明言した。

 国際行動規範の策定は2009年、ロシアの使用済み軍事衛星と米国の通信衛星が衝突した数日後にスイス・ジュネーブ(Geneva)で開かれた国連軍縮会議(UN Conference on Disarmament)で、EUが提案した。

 EUでは2008年の閣僚会議で、宇宙の民生・軍事使用の行動規範の草案が承認されている。09年に公表された内容によると、署名国は「平和目的で、干渉せず、衛星の安全性に最大限の注意を払いながら」宇宙利用の自由を維持していくと誓約しなければならない。また、宇宙活動における有害な干渉を阻止したり、宇宙が紛争の場となることを防ぐために協力することも求められる。

 米航空宇宙局(NASA)と米国防総省は、地球の周りには現在約1万9000個の宇宙ごみが浮遊しており、レーダーで追跡を続けていると発表している。(c)AFP