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テバトロン粒子加速器がまもなく引退、方針転換を迫られる米国物理学

  • 2011年09月28日 15:47 発信地:バタビア/米国
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米イリノイ(Illinois)州バタビア(Batavia)郊外にある粒子加速器、テバトロン(Tevatron、撮影日不明)。(c)AFP/Fermilab

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【9月28日 AFP】米国物理学の「大型実験」時代が30日、米イリノイ(Illinois)州バタビア(Batavia)にあるテバトロン加速器(Tevatron Collider)の引退とともに幕を閉じる。

 米フェルミ国立加速器研究所(Fermi National Accelerator Laboratory)が運用するテバトロンは、イリノイの大草原の約6.4キロ地下で25年間にわたり、ビッグバンの再現実験を行ってきた。

 欧州合同原子核研究機構(European Centre for Nuclear ResearchCERN)がスイス・フランス国境のアルプス(Alps)山脈の地下に世界最大の粒子加速器「大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron ColliderLHC)」を建設したため、テバトロンは時代遅れの代物となった。さらに、かつて物理学の大型実験分野を独占して数々の発見と技術的革新を成し遂げてきた米国は、今や次世代粒子加速器建設プロジェクトの資金調達が困難な状況にあり、長期的な資金供給は絶望的といっていい。

 米国の物理学者らは、今後はより緻密で費用も安い実験に取り組み、ヒッグス粒子(Higgs Boson)の探索などの高エネルギープロジェクトではCERNと共同作業を行うという。

■医療現場のMRIもテバトロンによる産物

 CERNのロルフ・ホイヤー(Rolf-Dieter Heuer)所長は、「テバトロンは素粒子物理学に目覚ましい貢献をした」と話す。その最たるものが1995年のトップクォークの発見だという。

 テバトロンは具体的に形のある成果も数々挙げている。その1つが、磁気共鳴画像(MRI)装置を医療診断の現場に広く行き渡らせたことだ。MRI産業が生まれたきっかけは、テバトロンで地球2.3周分の長さの超電導線が必要とされたことだ。それまでは、MRI磁石に使用される超電導線は希少で、価格も極めて高かった。

■大発見の可能性を秘めた3つのプロジェクト

 フェルミ研究所では現在、テバトロンの年間予算5000万ドル(約38億円)の一部を使った3つの新プロジェクトが進行している。同研究所による次の大発見は、この中から生まれるかもしれない。

 1つ目は、どの天体望遠鏡よりも速く銀河を走査することができるダークエネルギーカメラの構築だ。宇宙の膨張が減速ではなく加速している理由を突き止めることを目指している。

 2つ目は、世界で最も強力なニュートリノビームの生成だ。宇宙に反物質より物質の方が多い謎の解明と、ニュートリノの理解を深めることを目標としている。

 3つ目は、世界で最も強力な陽子加速器を建設するというもので、「プロジェクトX」と命名されている。実現するかは予算の配分次第だ。(c)AFP/Mira Oberman

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