【8月6日 AFP】アフリカ東部のサバンナは、従来広く考えられていたよりも古くから広い範囲にわたって存在していたという論文が、4日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。サバンナが人類の進化に影響を与えたという学説を補強するものだ。

 1920年代に提案されたいわゆる「サバンナ仮説」によると、森林が徐々にサバンナになっていったことが、二足歩行や脳容積の増大などといった人類の特徴の発展に寄与したとされている。背の高い草の上を見渡して捕食動物を見つける必要もあって人類は二足歩行をするようになり、狩猟を始めたことで長距離を移動する必要にも迫られたと考えられている。

 しかし、人類が二足歩行を獲得した理由としてそれ以外の要因を重視し、猿人化石が多く発見されているアフリカ東部の2つの地域、いずれもエチオピアのアワッシュ渓谷(Awash Valley)とオモ・トゥルカナ盆地(Omo-Turkana Basin)の森林被覆の状態は多様だったと主張する科学者もおり、サバンナ仮説は論争を呼んできた。

 たとえば一部の学者は、これまでに化石が発見されたなかで最も古い初期人類の1つ、ラミダス猿人(Ardipithecus ramidus)は主に森林地帯に住んでいたと主張している。

■初期人類はサバンナとともに?

 研究を主導した米ユタ大学(University of Utah)のトゥーレ・サーリング(Thure Cerling)教授は「過去600万年の間、初期人類の重要な化石が見つかっているアフリカ東部には開けた土地が広がっていた。人類の祖先の化石が見つかったところには、森林というよりもサバンナに似た開けた土地があったという証拠を発見した」と声明で述べた。

 研究者たちは土壌サンプルの分析結果と世界の熱帯地帯の衛星写真を総合して、アルディピテクス(Ardipithecus)属、アウストラロピテクス(Australopithecus)属、パラントロプス(Paranthropus)属、現生人類が属するヒト(Homo)属などの化石が見つかった地域の植生の推移をまとめた。その結果、過去740万年間の森林被覆率は75%から5%まで幅があることが分かった。

 しかし「化石が見つかっている初期人類が生きていた過去430万年間を通じて」、サバンナ(森林被覆率が40%未満)の相当部分は常時存在していたことも分かったという。「人類は約400万年前に二足歩行に移行しつつあったと考えられているが、今回の研究は、この時に森林ではない開けた土地が存在し、それもかなり広い範囲に広がっていたことを示している」とサーリング氏は語った。

 現在のところ、多くの科学者は、アフリカ東部は200万年前まで森林に覆われていたと考えている。(c)AFP