【7月21日 AFP】東京理科大(Tokyo University of Science)の辻孝(Takashi Tsuji)教授のグループは、マウスの腎臓の中で移植用の歯を育てることに成功した。新たに開発されたこの手法は、移植用の歯の作製期間を従来の手法より10日程度短縮できる可能性があるという。

 東京医科歯科大(Tokyo Medical and Dental University)と東北大(Tohoku University)の研究者も参加したグループは、歯の生成に必要な特殊細胞を組み合わせて歯の「種」を作成。「種」の細胞は互いに反応し合って、歯のもととなる組織へと成長を始めた。この時点で「種」をプラスチック製の小片にくるみ、マウスの腎臓に移植すると、歯に成長した。

 十分に成長したこの再生歯を別のマウスの歯ぐきに移植したところ、歯は口腔環境に適応し、神経や血管も歯に入り込んだことが確認された。また、マウスは歯の痛みや刺激を感じることができた。これは再生歯が本物の歯と同じように機能していることを示している。

 グループは、この手法は病気やけが、老化によって失ったり損傷したりした臓器を、人工的に作製した完全に機能する臓器で置換する「臓器置換再生医療」の可能性を示すものだと述べている。(c)AFP