【6月29日 AFP】香港科技大学(Hong Kong University of Science and Technology)の研究チームは27日、ミバエを用いた視覚の研究で動物が光に反応する新たな仕組みを発見したと発表した。

 香港科技大の研究によると、動物が暗い場所から太陽光がさす明るい場所に出たときに、INADと呼ばれるタンパク質が明るさに適応する調整スイッチの役目を果たしていることが分かった。

 INADの存在については以前から知られていたが、視機能における役割はわかっていなかった。

 視覚調節機能の欠陥は悲劇的な結果をもたらすことがあると、研究を主導した張明杰(Mingjie Zhang)教授はいう。「もし、道路を歩いている人が接近する車を瞬間的に認識できず、反応に数秒かかっていては事故につながる。ハエの場合は反応が遅れれば、ハエタタキで叩かれてしまう」

 研究チームは、今回の研究結果が夜盲症などの視覚的な問題症状の解決につながると期待する。さらに、INADの光調節による酸化過程の研究が進めば、エイズ(AIDS)やがんなどの病気の理解を深めることも期待できると、張教授はいう。酸化は、さまざまな疾病と緊密につながっているからだ。 

 香港科技大の研究結果は、米科学誌「Cell」の最新号に掲載されている。(c)AFP

【参考】香港科技大学のプレスリリース(英語)