【5月13日 AFP】海王星より外側の太陽系外縁を公転する「つぶれたラグビーボール」のような形状の風変わりな準惑星ハウメア(Haumea)は、結晶質の水氷で覆われている――。欧州南天天文台(European Southern ObservatoryESO)は12日、このような新たな観測結果を発表した。

 豊穣と出産をつかさどるハワイ神話の女神の名を冠したハウメアは、2004年に発見された。カイパー・ベルト(Kuiper Belt)の中にあり、岩石質で、直径は約2000キロ。ただ、詳細な画像が得られることは極めてまれで、現在でも公転軌道の正確な位置や大きさはベールに包まれた謎の天体だ。

 ESOの研究チームは今回、チリにある巨大望遠鏡を使ってハウメアの鮮明画像の撮影に成功した。

 画像によると、ハウメアは地球からはるか遠くにあるにもかかわらず、岩石の表面を覆う水氷の照り返しにより、明るく輝いている。

 ハウメアには、女神の娘にちなんだヒイアカ(Hi'iaka、直径約400キロ)とナマカ(Namaka、直径約200キロ)の2個の衛星があるが、ハウメア表面の4分の3とヒイアカ表面の全部が水氷に覆われていることが新たに分かった。

■結晶構造を維持しているものは?

 これらの水氷について研究チームは、結晶質である点、つまり秩序だった構造を持っている点で独特だと指摘する。結晶構造は日光が当たると破壊されるため、ハウメアとヒイアカ表面の水氷が溶けて非結晶状の霜とならずに氷として存在するには、他のエネルギー源が必要になる。

 研究チームは、このエネルギー源として2つの要因が考えられると述べている。氷の下に存在する3つの放射性元素(カリウム40、トリウム232、ウラン238)と、ハウメアと2個の衛星との間の引力相互作用による「潮汐力」だ。

 なお、ハウメアの自転周期は4時間未満で、太陽系の惑星中でも最も自転速度が速い部類に入る。その奇妙な形は、この自転の速さに由来しているかもしれない。自転が速まるきっかけは隕石(いんせき)との衝突であった可能性があり、この衝突によりヒイアカとナマカの2個の衛星が生まれた可能性も考えられる。

 ハウメアは、国際天文学連合(International Astronomical UnionIAU)が2006年に創設した「準惑星」カテゴリーの中で、5番目に大きい。最大のものは、「惑星」から降格された冥王星だ。(c)AFP