【4月22日 AFP】米ケース・ウエスタン・リザーブ大学(Case Western Reserve University)の研究チームは、光を当てるだけで自己修復するポリマーを開発したとする論文を21日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。

 ポリマーとは、1種類または数種の原子あるいは原子団が互いに数多く繰り返し連結していることを特徴とする分子でできた物質のこと。多くの製品に使われているが、ひっかき傷や切り傷、刺し傷に弱い。かくしてごみ処分場はポリマーのごみであふれ返り、安全・衛生面で問題になる場合さえある。

 同大のクリストフ・ウィーダー(Christoph Weder)氏率いる研究チームは、傷ができた部分に紫外線を当てるだけで自己修復するポリマーを開発した。

 この物質は微細な鎖状の構造が組み合わさって大きな鎖状の構造を作っている。構造に含まれる金属が紫外線を吸収すると発熱し、その近くの部分だけが溶けて傷を埋めるという仕組みだ。

 従来の自己修復ポリマーでは破損した場所を加熱する必要があった。今回開発された物質は、ポリマーに負荷がかかった状態で傷のできた部分だけをピンポイントに修復できるなどの利点がある。

 このポリマーは梱包、輸送、建築、医療などの分野で幅広く使われているポリマー製品の耐久性を大幅に向上させるかもしれない。(c)AFP