【4月20日 AFP】これまで生物史上最古とされていた虫歯の証拠をさらに約2億年さかのぼる、2億7500万年前の化石を発見したと、学術専門誌ネイチャー・オブ・サイエンス(Nature of Science)に19日、カナダ・トロント大学ミシサガ校(University of Toronto at Mississauga)のチームが発表した。

 ロバート・ライス(Robert Reisz)教授率いる同大のチームは、米テキサス(Texas)州コーヒークリーク(Coffee Creek)近辺で発見された「非常に保存状態の良い」ラビドサウルス・ハマトゥス(Labidosaurus hamatus)という恐竜のあご骨の化石をCTスキャンで解析した。その結果、感染によって数本の歯が抜け、腫瘍ができる形であご骨が破壊された痕跡が確認された。

 ラビドサウルス・ハマトゥスは体長約75センチ、平たい頭を持った雑食性の爬虫(はちゅう)類で、数百万年かけて陸生化した。捕食動物から逃げ、身を守るのに適した、頑丈な四肢と甲のような皮膚を持っていた。

 陸生化した初期の頃は空中や地面にいる虫を餌とし、後に草食も始めたと考えられている。歯根はあご骨に深く固定され、生え変わりがなく、これは繊維質の多い植物や茎を食べるのに適応していた。

 恐竜の歯はもともと生え方が緩く、抜け落ちてもまた新しい歯が生えていたが、ラビドサウルスは進化の過程で生え変わりのない永久歯を持つようになったとみられる。

 しかし一生、生え変わりのない歯はまた今日、人間の虫歯の原因となっているのと同種のバクテリアに対して弱いという欠点があったとみられる。研究チームは論文で「今回の発見から、乳歯と永久歯のふたつのセットしか持たない人間の歯のシステムが、感染によりぜい弱だ(さまざまな食物を咀しゃくできるという明白な利点はあるものの)ということが推論できる」とまとめている。(c)AFP