【3月8日 AFP】米航空宇宙局(NASA)の科学者、リチャード・フーバー(Richard Hoover)氏が、隕石(いんせき)内に地球外の微生物の化石を発見したと発表したことをめぐり、NASAは7日、これを裏付ける科学的根拠はないとする正式な見解を示した。

 フーバー氏は4日、学術専門誌「ジャーナル・オブ・コスモロジー(Journal of Cosmology)」に論文を発表。数種類の「炭素質コンドライト」と呼ばれる水や有機物などが比較的多く含まれている隕石の断片を高性能の顕微鏡で観察したところ、バクテリア様の生命体を発見したとしている。フーバー氏は、「この化石は地球外からやってきたもので、隕石が地球に落下した後に混入したものではない」と主張する。

 だが、NASA宇宙生物学研究所のカール・ピルチャー(Carl Pilcher)所長は、「フーバー氏は何年も前からそのような主張を繰り返してきた」とした上で、「この微生物の痕跡が地球で混入したものではないとするフーバー氏の途方もない説を支持している隕石研究者は1人もいない」と強調。

 さらに、フーバー氏が調べた隕石は100~200年前に地球に落下したもので、人の手に何度も触れられていることを挙げ、「隕石内で発見された微生物は地球上で混入した雑菌と考えるのが最も自然だ」と述べた。

 NASA科学ミッション部門のポール・ヘルツ(Paul Hertz)氏も、「NASAはフーバー氏の論文を支持しない」とする声明を発表している。(c)AFP/Kerry Sheridan

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