【11月26日 AFP】食べ物をめぐって巨大な恐竜たちと獲得競争を繰り広げなければならなかったほ乳類が、恐竜絶滅後にどのように大型化していったかについて解明したとする論文が、26日の米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 カナダ・カルガリー大(University of Calgary)のジェシカ・テオドール(Jessica Theodor)氏らの研究チームは、ほ乳類の大型化の過程などを調べるため、2年以上にわたって化石の膨大なデータを収集した。

 恐竜がかっ歩していた時代、ほ乳類の平均的な大きさはウサギの赤ちゃんからビーグル犬程度、体重にして1~10キロの間と、比較的小さかった。ところが、6500万年前の恐竜絶滅からほどなくして、ほ乳類は急速に大型化する。その2500万年後には最大で1000倍大きくなり、体重が17トンに及ぶものまで現れた。

 恐竜がいた頃には餌をめぐる競争が存在した上、ほ乳類は代謝が早く、大型化するほど食べたことがなかった。これが恐竜絶滅によって、餌がふんだんに手にはいるようになり大型化したのだとテオドール氏は説明する。

 ところが、ほ乳類の大型化は約4000万年前にひと段落し、その後はほぼ横ばいとなっている。こうした傾向はすべての大陸で見られた。

「草食動物が大型化する上では強い淘汰圧がかかる」とテオドール氏。大型化すれば捕食動物に狙われる確率が減る。体温を上げるために動き回る必要もないため、厳しい冬の寒さも生死を分ける問題ではなくなるという。

 さらに、体の大型化に伴って胃も大きくなり、木や植物の硬い部位でも分解できる化合物が生成されるため、食べ物のレパートリーが広がる。

■大型化の概念

 大型化の概念についても興味深い発見があった。例えば、現在は地上最大のほ乳類とされるゾウが、これからも常にそうあり続けるわけではない。最大のほ乳動物という名称をどの動物が担うかは時とともに変わるのだという。
 
「このことは、ほ乳類の大型化に関して何らかの原理があることを示唆しており、実に興味深い。大型ほ乳類になることは、それがどの動物であれ、(生態学的地位の)『すき間』を埋めること。そしてこの『すき間』に移動することは、どの動物でもありうると考えられる」(テオドール氏)(c)AFP/Kerry Sheridan