【11月17日 AFP】約2万8000年前に絶滅したとされるネアンデルタール人の子どもは現代人の子どもに比べてはるかに成長速度が速かったとする論文が、15日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。

 米ハーバード大(Harvard University)の研究チームは、先進的なX線技術を備えた新開発の超高性能顕微鏡を使って人類の直近の祖先とされるネアンデルタール人の子ども8人の歯の化石を精査した。

 その結果、ネアンデルタール人の子どもの歯の成長速度は人類の子どもの歯をはるかにしのぎ、9万~10万年前にアフリカを出た初期人類の子どもの歯の化石と比べても違いは明らかだった。

 タニア・スミス(Tanya Smith)准教授によると、ネアンデルタール人の子どもの歯には、表面にも内部にも、発育障害を示す多数の痕跡が高い頻度で認められた。ネアンデルタール人にとって、子ども時代は苦難の時代だったと言えるようだという。これに比べて人類の歯はゆっくりと成長しており、子ども時代をゆったりと過ごしていることを意味している。

 以上のことからこの論文は、子ども時代の長期化は比較的最近になって現れた現象で、長寿命化の要因にもなった可能性もあるとしている。(c)AFP/Kerry Sheridan