【9月24日 AFP】トリケラトプスに代表される角竜類の新種恐竜の化石2種類が、米西部ユタ(Utah)州の砂漠地帯で発見され、それぞれ「ユタケラトプス・ゲティ(Utahceratops gettyi)」「コスモケラトプス・リチャードソニ(Kosmoceratops richardsoni)」と命名された。

 ユタケラトプスの頭がい骨は2.3メートル長と巨大で、コスモケラトプスは15本もの角を持つ。どちらも約7600万年前の白亜紀後期に生息していたものと考えられ、研究チームは「目を見張る発見」だと成果を称えている。

■「失われた大陸」に生息

 発見した考古学者チームは22日、米オンライン科学誌パブリック・ライブラリー・オブ・サイエンス(Public Library of SciencePLoS)に、「この2種類の巨大な草食竜は、北米大陸全体が浅海域となったときに形成された『失われた大陸ララミディア(Laramidia)』の住人だった」と発表した。

 論文の共著者マーク・ローウェン(Mark Loewen)氏は、ユタケラトプスの外見について「ありえないほど巨大な頭をもったサイ」と表現した。鼻の上に生えた大きな角に加え、両目の脇から横方向へ短く伸びた、現代のバイソンのものに似た角も持っていた。体重は3~4トンの間、背骨の位置で測った体高は約2メートル、体長は6~7メートルだったとみられる。

■15本もの角、用途は?

 またコスモケラトプスは、全部で15本の角をもつ。まず鼻の付け根に1本、両目の上に1本ずつ、さらに両ほお骨の横に2本、残りの10本は首の後ろのえり毛部分に飾りのように生えている。報告では「これまでに知られている中で、最も飾りの多い頭をもった恐竜」と表現された。

 派手に何本も生えたこの角の役割について、研究チームでは仮説の域ながら、コスモケラトプス同士のコミュニケーションに役立っていたとみる説が有力だ。主著者のスコット・サンプソン(Scott Sampson)氏は、「同性に対してはライバルを威嚇したり、戦ったりするときに使い、異性に対しては興味を引く役割があったのではないか」と述べた。

 ユタケラトプス・ゲティの学名は、発見されたユタ州の地名と、発見者であるユタ自然史博物館(Utah Museum of Natural History)の考古学資料収集責任者であるマイク・ゲティ(Mike Getty)氏にちなみ命名された。コスモケラトプス・リチャードソニは、たくさんの角をもつことからラテン語で「装飾」をあらわす「kosmos」と、この恐竜の頭がい骨2つの発見者であるボランティア研究者、スコット・リチャードソン(Scott Richardson)氏にちなんだ。それぞれ「ケラトプス」は古代ギリシャ語で「角のある顔」を表す。

 米国では近年、角竜の新種が相次いで発見されている。(c)AFP