【9月23日 AFP】今年200周年を迎えるドイツ、ミュンヘン(Munich)のビールの祭典、「オクトーバーフェスト(Oktoberfest)」だが、何千人も入る仮設ビアテントを訪れる人々の悩みは、こぼれたビールと汗、香ばしいはずのソーセージとが混じり合って生まれる強烈な悪臭だ。  パーティーの悪臭は長年、それに勝るタバコの煙でごまかされていた。しかし、ミュンヘンが位置するバイエルン(Bavaria)州が飲食店やビアテントでの全面禁煙を打ち出し、もはや「煙幕」に頼ることは難しくなったところに、バクテリアを利用した強力臭い消しが登場した。  約30年間にわたり、オクトーバーフェストのための消臭剤を提供してきた開発企業、フーベルト・ハックル(Hubert Hackl)によると、「新兵器」は熟成コンポストからとれる液体、つまりバクテリアが豊富な腐植液に、海草と糖蜜で香りをつけて発酵させたバイオ消臭液だ。同社は「(ビールや体臭など)有機的な臭いを消す昔からの自然な方法」だと胸を張る。 ■翌年春には自然分解  600万人が訪れる2週間のオクトーバーフェスト期間中、市内各地に仮設されるビアホール・テントは収容人数が最大で7000人とどれも大規模だが、換気が悪く、すさまじい臭いが中にこもる。  しかし、ハックル社の消臭液を木のフロアに毎日まけば、こぼれたビールの後を追ってフロアからテント下の土へと流れ、悪臭を立ち上らせる有機物をバイオ分解する仕組みだ。残留物は翌年春には自然に帰り、肥料の役割を果たす。  各ビアテントはバイオ消臭の威力を早速、試している。7000人を収容する最大のビアテント、ホフブロイ(Hofbraeu)のマネージャー、フリードリッヒ・スタインベルグ(Friedrich Steinberg)さんは、「特に悪臭がたまるカウンターのあたりに使っている。トイレもだいぶ臭いがましになったよ」と、「禁煙」の看板にもたれかかりながら語った。(c)AFP/Anne Padieu