【8月13日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は11日、広域赤外線探査衛星「WISEWide-field Infrared Survey Explorer)」が撮影した小マゼラン雲(Small Magellanic Cloud、NGC 292)の画像を公開した。

 小マゼラン雲は、地球から約20万光年離れたところにある矮小(わいしょう)銀河。ポルトガルの冒険家、フェルディナンド・マゼラン(Fernando de Magellan )が1519年、世界周航中に観測したことにちなんで名付けられた。空が暗いときには、裸眼でも確認できるため、南半球の人々はマゼランのずっと以前から、この銀河を見ていたと考えられる。

 小マゼラン雲はきょしちょう座にあり、天の南極を取り囲むうっすらとした雲のように見える。画像にはないが、付近に大マゼラン雲(Large Magellanic Cloud)がある。

 天文学者は当初、この両銀河が天の川銀河(Milky Way galaxy)を周回していると考えていたが、最近の研究で、両銀河は移動速度が速く、天の川銀河の重力では引き寄せられないため、天の川銀河の前を通過しているだけだと初めて指摘されている。

 画像上部に見える2本の線は、WISEが小マゼラン雲を撮影した際に小マゼラン雲の前を通過した、地球を周回する衛星。画像の撮影には、WISEに搭載された全4基の赤外線検出器が使用された。画像の色は、赤外線の波長によって異なり、青と青緑は星から放出される光、緑と赤は熱いちりから出る光を表す。(c)AFP