【5月25日 AFP】世界中で除草剤として広く使用されている「アトラジン(Atrazine)」が魚の繁殖に悪影響を及ぼすとする研究結果が前週、科学誌「Aquatic Toxicology(水中毒物学)」に掲載された。

 報告書の主執筆者、米地質調査所(US Geological SurveyUSGS)のドナルド・ティリット(Donald Tillitt)氏は「農水路や河川で一般的に観測されるアトラジン濃度で実験したところ、魚の繁殖や産卵の減少、細胞組織の異常などが起きた」と述べた。除草剤アトラジンは、米国ではトウモロコシやサトウキビ、ソルガムなどに使用されている。

 実験は、米ミズーリ(Missouri)州コロンビア(Columbia)にあるUSGSの研究施設で行われた。1リットル当たり0~50マイクログラムの濃度のアトラジンに30日間、試験魚「ファットヘッドミノー」を暴露した後、産卵状況や細胞組織の異常、ホルモン量などを調査した。

 実験に用いられたアトラジン濃度は、米環境保護局(US Environmental Protection AgencyEPA)の定めた水質ガイドライン値の1リットル当たり65マイクログラムより低かったにもかかわらず、報告書は魚の繁殖に「大きな影響があった」と結論づけ、「アトラジンの危険性に対するさらなる調査と評価が必要だ」と指摘した。(c)AFP