【3月25日 AFP】現在のロシア・シベリア(Siberia)地方南部に約4万年前に生息していた人類のDNAを解読した結果、発見されたことのない新種の系統に属することが分かった--人類はアフリカ大陸を起源とし、世界を征服していったという従来のシナリオが書き換えられるかもしれない。24日、英科学誌ネイチャー(Nature)に研究結果が発表された。

 ネアンデルタール人の大半のゲノムを解析した実績のある独マックスプランク進化人類学研究所(Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology)のチームは今回、アルタイ山脈(Altai Mountains)のデニソワ洞穴(Denisova Cave)で、2008年に発見された子どものものと思われる人類の小指の骨をDNA解析した。炭素年代測定によると、この骨が発見された地層は約3万年前から4万8000年前の間のものだった。

 細胞小器官ミトコンドリアから抽出したDNAの解読結果を、ネアンデルタール人、現生人類、チンパンジー族のボノボやチンパンジーのDNAと比較したところ、現生人類やそれに並ぶ系統のヒト属とは別の属とみなすにふさわしい約400か所の遺伝子的な違いが確認された。

 結果、この「デニソワ人(Denisova Hominid)」は約100万年前に、現生人類やネアンデルタール人と共通の祖先から枝分かれしたと考えられる。これが正しければ、これまで語られてきた「人類の船出」のストーリーは大きく変わることになる。(c)AFP/Richard Ingham