【3月23日 AFP】「最高級品」と書かれたワインを大枚をはたいて購入したのだが、味は安物そのものだったという経験はないだろうか?

 偽物ヴィンテージワインが広く出回っていると感じたオーストラリア・アデレード大(University of Adelaide)の研究チームが、このほど、ワインの生産年を特定する試験方法を開発した。20世紀に行われた一連の核実験で大気中に残された放射性炭素同位体と、先史時代の遺物の年代測定で使われる方法を用いるというものだ。

 試験は、ブドウ中の炭素12と炭素14の量を比較することで行う。両方とも、ブドウが二酸化炭素を吸収する際に取り込まれるもの。炭素12はブドウが吸収した炭素に含まれる主な同位体で、非常に安定している。一方、放射性同位体の炭素14は、ブドウの中にごく少量含まれている程度だが、その量は年々変化するため、ワインの年代測定には有効なツールだ。

 研究チームは、ヴィンテージワインでも化石と同じように放射性炭素年代測定が可能か調べるため、1958~97年のオーストラリア産赤ワイン20銘柄について、ワインのアルコール成分のもとになる発酵糖に含まれる炭素14の量を測定した。

 次に、この測定値を採取時期がはっきりしている大気サンプルの放射能レベルと比較したところ、醸造年を確実に同定できることが明らかになった。

 ワイン専門家らは、今日販売されている高級ワインのうち、その味が値段やラベルの文言に見合っていないものは5%あると推定している。(c)AFP