【3月18日 AFP】現代のイヌの祖先は、これまで考えられていたように欧州やアジアのオオカミではなく、中東に生息していたオオカミだとする論文が、17日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California at Los AngelesUCLA)の研究チームは、85犬種900匹以上のイヌと、北米、欧州、中東、東アジアに生息する200頭の野生のハイイロオオカミについて、遺伝情報を解析した。

 その結果、イヌ遺伝子の系譜の根元は中東にあることが明らかになった。これは、中東で発掘された1万3000年前のイヌの化石の分析結果と符合するという。 

 また、イヌのゲノム多様性の源は中東に生息するハイイロオオカミにあることもわかった。ただし、進化の初期の段階で、中東以外の場所でもオオカミとの交配が行われたことは明らかだという。

 考古学者らは、長らく、イヌを飼うという習慣は、現在のイラクにある「肥沃な三日月地帯」で、古代の農民や村人たちが家畜や家を守るために使用したのが始まりだと考えてきた。

 実際、中東にある古代の墓地からはイヌの骨が見つかっており、女性の腕の中で丸まっている子犬のものもあったという。(c)AFP