【2月4日 AFP】近い将来、「クモの巣」が雨の少ない地域で水不足解消の新技術として活躍するようになるかもしれない。

 クモの糸は強度の高さで知られているが、中国科学院(Chinese Academy of Sciences)の研究チームはこのほど、この糸が空中の水分を集める際に発揮する優れた機能を解明し、3日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。

 研究チームは、タイリクウズグモ(Uloborus walckenaerius)の糸を電子顕微鏡で精査した。すると、糸は湿気に触れると構造変化を起こし、節くれだった紡錘状のこぶが幾つも作られることがわかった。こぶの間には細く滑らかな接合部がきれいに整列していた。

 クモの巣に凝結した水分は、ある程度まで溜まると、表面張力に従って滑らかな接合部の表面を伝ってこぶに集まり、蓄えられて大きな水滴となっていた。

 研究者らは、この仕組みを応用することで、空中の水分の収集・蓄積が可能な人工フィルターが開発できると期待を表明している。

 ポールに張ったネットなどで風に含まれる湿気をとらえて水を収集する技術は、南米アンデスの海岸地方で開発されており、NGOなどが地球温暖化により生じる水ストレスを解消するための有用なツールとして推奨している。(c)AFP