【11月20日 AFP】トウモロコシの全遺伝情報を解明したと、米ワシントン大学(Washington University)を中心とする研究チームが20日、米科学誌「サイエンス(Science)」などに発表した。世界の主要穀物の1つであるトウモロコシの高収量品種の開発が飛躍的に進むと期待される。

 トウモロコシは、生産量でコメとソルガムに次ぐ世界第3位の穀物だが、温暖化の脅威に直面している。増産は、増加の一途をたどる世界人口を養うための大きな一歩を意味する。

 病気にも干ばつにも強く収量も高い栽培品種の開発を最終目標とするトウモロコシゲノム・プロジェクトは、米政府当局の助成を得て2005年にスタート。150人の専門家が関わり、トウモロコシゲノムを構成する第10染色体中の3万2000個あまりのDNA配列(遺伝子)を識別したという。

 これは、これまでに解析された植物の中では最多数にあたる。ちなみに、ヒトゲノムは第23染色体中の2万個あまりの遺伝子で構成されている。 

 研究者らは、トウモロコシの遺伝情報には約23億個のDNA塩基配列「T、C、G、A」があり(ヒトの場合は29億個)、うち約85%は反復していることも解明した。ただ、この反復配列の役割は不明だという。

 また、遺伝情報は2本のゲノムが互いに絡み合う状態で構成されていたが、これは数百万年に及ぶ進化を反映したもので、植物にはありがちなのだという。(c)AFP