【11月13日 AFP】欧州宇宙機関(European Space Agency)の彗星(すいせい)探査機「ロゼッタ(Rosetta)」が13日、地球に最接近した。目的のチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(Churyumov-Gerasimenko)に向け、地球の引力を利用する「スイングバイ」を行って加速するためだ。

 ロゼッタは日本時間午後4時45分40秒、インドネシア・ジャワ(Java)島のすぐ南にあたる東経109度、南緯8度のインド洋上空2481キロを、秒速13.3キロメートルで通過した。ESAは先に、南半球で中型以上の望遠鏡があればロゼッタの観測が可能だとしていた。

 ESAによると、スイングバイで秒速3.6キロの加速ができるという。ロゼッタはこれまでに地球で2回、火星で1回のスイングバイを行っており、4度目の今回が最後のスイングバイとなる。

 2004年に打ち上げられたロゼッタは、来年7月に小惑星ルテティア(Lutetia)に接近。その後さらに飛行を続け、2014年5月にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に接近する予定だ。10年かけての飛行距離は71億キロに及ぶ。

 チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星では冷蔵庫ほどの大きさの探査機、フィラエ(Philae)を彗星表面に着陸させる。その後ロゼッタは2年間にわたり彗星を追跡し、搭載したカメラで観測を続ける。

 彗星は太陽系誕生当時の物質を残していると考えられており、その組成を知ることで惑星の形成についての理解が深まり、地球上の生命の誕生についても新たな知見が得られるかもしれないと期待されている。(c)AFP