【11月3日 AFP】米国などの科学者チームは2日、家畜のブタのゲノムのドラフト配列解析がほぼ終了したことを明らかにした。農業、医学、種の保存、進化に関する理解が深まることが期待される。

 ゲノム解析には、米イリノイ大(University of Illinois)の農場で飼われているデュロック種のブタを使用した。毛が赤いデュロック種は、世界中の養豚場で飼育されている5つの主な品種の1つ。なお、家畜化されたブタの品種は全部で約200種ある。

 ブタゲノム解析プロジェクトを率いた同大のラリー・シューク(Larry Schook)教授(生物医科学)は、ブタを選んだ理由を次のように説明する。「ブタは、食糧として重要であるとともに疾患動物モデルとしても使用されるという、ユニークな立場にある。原初のブタがまだ野生に存在していることもあり、家畜化がゲノムにもたらした影響を調べるには、おあつらえ向きの動物だ」

 ドラフト配列解析は、約98%が終了している。この時点で、養豚に役立つ遺伝子や、免疫などの重要な生理的過程に関与する遺伝子を特定することが可能だという。

 研究チームは、こうした研究は、養豚の生産性の向上や、ブタが感染する病気への理解を深めるだけではなく、希少なブタや絶滅の危機に瀕している野生のブタを保存するためのより良い方法を明らかにしてくれるものだとしている。

 また、ブタとヒトは生理や行動や栄養必要量が極めて似ているため、ヒトの健康に関する研究においても重要な手掛かりを与えてくれるという。(c)AFP