【10月2日 AFP】(写真追加)エチオピアで1992年に発見された440万年前のラミダス猿人の化石は、全身骨格がわかる化石としては人類最古で、人類進化の初期段階について多くの手掛かりを与えてくれる――。10か国から成る発掘チームが1日、計11の論文を英科学誌「サイエンス(Science)」に発表した。

 この化石はエチオピアのアファール(Afar)地域で発掘されたもので、94年に最古の人類とされるアルディピテクス属のラミダス猿人と断定され、「アルディ(Ardi)」と名付けられた。

 アルディは女性で、身長約120センチ、体重約50キロと推定される。脳の大きさはチンパンジーと同じくらいだが、顔はチンパンジーより小さい。人類の大きな特徴である門歯と犬歯の縮小が起きていた。チンパンジーの前歯が果物をかじれるように大きいことを考えると、アルディはチンパンジーよりもはるかに雑食だったと考えられるという。

「アルディ」発見より前は、人類の最古の祖先は400万~100万年前の脳が小さい猿人アウストラロピテクスとされてきた。最も有名な化石人骨は約320万年前の「ルーシー」で、1974年に今回のアルディ発掘現場から72キロ北で発見された。

「ルーシー」の発見に基づいて、これまで人類の初期の祖先はチンパンジーに似た骨格を持っており、これがヒトとチンパンジーの遺伝子的な類似を説明していると考えられてきた。しかしアルディの骨格はこの仮説とは異なる。ある研究者によると、アルディはチンパンジーでもヒトでもなく、手はチンパンジーのものよりも原始的だという。(c)AFP