【8月1日 AFP】男性の目は、大昔に動物を追って狩りをしていた名残で遠くのものを見るのが得意で、女性の目は近くのものを見るのが得意――。英国の臨床心理学専門誌「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・サイコロジー(British Journal of Psychology)」オンライン版に30日、このような研究結果が発表された。

 男女の脳は数千年の間に別々に進化し、近いものと遠いものに関する視覚情報の脳内プロセスが男女で異なるというのが通説だが、英イーリング・ハマースミス・アンド・ウェストロンドンカレッジ(Ealing, Hammersmith and West London College)の心理学者、ヘレン・スタンシー(Helen Stancey)氏は、これを実験で確認することにした。

 男女48人に対し、紙面に引かれた線をさまざまな距離から見せ、レーザー・ポインターでそれぞれの線の中間点を指し示してもらったところ、1メートル離した場合の判断は男性の方が正確であり、逆に50センチという腕を延ばして届く近さでは女性の方が正確であることがわかった。

 スタンシー氏は、結果について、「狩猟採集時代においては、女性は身近な場所での仕事が求められ、一方で(大多数が男性の)ハンターたちにとっては、獲物は遠くの場所にあった。視覚処理におけるこうした性差は、進化の過程における名残だろう」と分析している。(c)AFP