【6月19日 AFP】火星の表面に約34億年前の湖の痕跡を発見したとする論文を、米コロラド大学(University of Colorado)の研究者らが米地球物理学会誌「Geophysical Research Letters」に発表した。かつて火星に生命体が存在していたことを示す強力な手掛かりとして期待される。

 論文によると、火星の画像を分析した結果、水で削り取られた峡谷が広がってくぼみのようになり、そこにたまった堆積物がデルタを形成している様子を発見した。火星の表面に湖岸線のようなものが発見されたのは初めてで、この湖の面積は207平方キロ、深さは最大500メートルと推定されるという。 

 火星の最古の表面はこれまで、いん石の衝突や大洪水が相次いだ約41-37億年前の温暖湿潤なノアキス(Noachan)代に形成されたと考えられてきた。今回発見された湖はそれ以降の寒く乾燥したヘスペリア(Hesperian)代に存在したと考えられ、火星の温暖湿潤期の終わりが3億年近く延びたことになる。

 科学者らは、湖の跡の周辺デルタに、過去に存在した生命体に関する重要な手掛かりが眠っていると期待している。

 2002年、火星探査機マーズ・オデッセイ(Mars Odyssey)は火星の北極に初めて氷を発見。2008年には、火星探査機「フェニックス(Phoenix Mars Lander)」が火星の土壌に氷が存在したことを確認している。(c)AFP