【4月1日 AFP】首の長い恐竜は、その長い首で高いところにある食物をとっていたと長らく信じられてきたが、この仮説は誤りの可能性が高いとの報告を、恐竜の研究者らが1日、英国王立協会(Royal Society)の出版する専門誌「バイオロジー・レターズ(Biology Letters)」に発表した。

 恐竜時代の全盛期に竜脚類(sauropods)の一部は極端に長い首をもつようになり、約1億5000万年前のジュラ期後期に生息したマメンチサウルス(Mamenchisaurus)の場合、首の長さは9メートル以上にも及んだ。

 現在のキリンのように、首の長い恐竜は、ほかの草食類に食べられる心配のない木々の上の部分を、ゆっくり食べていたというのがこれまでの一般的な見解だった。

 しかし、バイオロジー・レターズに掲載された論文は、エネルギー消費の観点から、巨大な竜脚類は首を垂直に上に伸ばすのではなく、横向きに動かして食物を食べることが多かっただろうとの仮説を提示した。

 オーストラリアの進化生物学者、ロジャー・シーモア(Roger Seymour)氏が、首の長い竜脚類が首を垂直に持ち上げるために必要な血圧を測定するシミュレーションを行ったところ、「垂直に首を伸ばす場合は、高い全身動脈血圧が必要になる」ことが分かった。

 血液循環に必要なエネルギー消費量を測定したところ、「血液を循環させるためだけに、エネルギー摂取量の約半分を消費しなければならなかった」という。「だから、首を水平に動かして広い範囲の草を食べ、血圧を低く保っていた可能性が高い」

 また、ほかの恐竜研究者らは、首の長い竜脚類が、長時間にわたって首を上に伸ばせるほどの大きな心臓を持っていたとは考えにくいと述べる。

 2000年に発表された研究では、マメンチサウルスと同等の首の長さを誇るバロサウルス(Barosaurus)が、首の筋肉と脳に血流を供給して首を上に持ち上げるには全体重の5%分に相当する重量の心臓が必要と述べられていた。(c)AFP