【2月27日 AFP】仏南西部ラスコー洞くつ(Lascaux Cave)の壁画が、黒カビ発生の危機にさらされている。

 かつて、壁画の管理が不十分だとして批判されてきたフランス政府は2008年1月、洞くつ内部に防かび剤を施し、旧石器時代の壁画をカビから守る努力を示した。

 しかし、科学者が組織するラスコー壁画委員会のマルク・ゴーティエ(Marc Gauthier)氏は、20日の研究会で、防かび剤処理後に、壁画のカビの状況に大きな変化はみられていないと述べている。

 ただ、ゴーティエ氏は「状況は安定している。黒カビは縮小していないが拡大もしていない」と述べ、「洞くつは病気を患っている患者のようなものだ。現在のところ症状は落ち着いている。われわれは自然の力による回復を待ちたい」と話した。

 約1万7000年前に鮮やかな色彩でウマやウシ、野生ヤギなどが描かれたラスコー壁画は、『先史時代のシスティーナ礼拝堂(Sistine Chapel)』との異名を持ち、国連教育科学文化機関(ユネスコ、United Nations Educational, Scientific and Cultural OrganizationUNESCO)の世界遺産(World Heritage Site)にも登録されている。

 だが、空調設備の導入が原因で2001年、白カビの発生が確認され、防かび剤や防菌剤処理を壁画面に施し、必死の努力が続けられた。これにより白カビの除去には成功したものの、これに代わって現在は黒カビが発生している。(c)AFP