【10月1日 AFP】米マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of TechnologyMIT)の研究チームは29日、臭いを感知する受容体を実験室で大量生産する方法を見いだしたと発表した。これにより、「人工鼻」の開発に一歩近づいたとしている。

 MITのCenter for Biomedical Engineeringの副センター長で、この論文の主席執筆者のShuguang Zhang博士によると、「人工鼻」は麻薬や爆発物をかぎ分けるイヌの役割を果たせる可能性があり、においで病気を特定するなど幅広い医学的な応用も期待できるという。

 MITの「リアル・ノーズ」計画では、においの再現において、五感の中でも最も複雑で最も知られていない嗅覚(きゅうかく)の再構築を試みた。

 人間には約400種類、イヌやネズミには約1000種類の嗅覚受容体があるとされる。においがこれらの受容体を刺激し、それによって作り出された信号を脳が受け取って、数万種類ものにおいをかぎ分けることができる。

 研究チームのブライアン・クック(Brian Cook)氏は「これまで、相当量の嗅覚受容体を作成できなかったことが、においの研究における大きな障壁となってきた」と話す。

 チームは今後、世界各国の研究者と協力し、糖尿病や肺がん、ぼうこうがん、皮膚がんなど特有の臭いを持つ病気を特定できる携帯用マイクロ流体デバイスを開発する予定だという。

 詳細は今週の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に掲載される。(c)AFP