【9月30日 AFP】欧州の新型補給機(Automated Transfer VehicleATV)「ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne)」は29日、6か月以上にわたる国際宇宙ステーション(International Space StationISS)における初任務を大成功で終え、南太平洋に破片となって落下した。

 2度の操作で、急角度の最終軌道へと送られたATVは、高度120キロで大気圏に突入した。ATVは、高度75キロでばらばらになり、約12分後に破片が太平洋に落下した。仏南西部トゥールーズ(Toulouse)の宇宙管制センターでは、技術職員らが「さよならジュール」と書かれたサインを手に、13億ユーロ(約2000億円)の宇宙船が流星のような光を残して消滅するのを見送った。

 ESAは、ニュージーランドの東、チリの西の海上にATVの破片が落下する地区を設定し、各国や国際機関に対し、ATVの大気圏突入時、船舶や航空機に同海域を通過させないよう要請した。ESAの発表によると、重量13.5トンのATVの部品のうち、約100個が大気圏突入の熱や圧力に耐えて残り、同海域に落下する可能性がある。

■予想を超える実績を残す

 ATVは、全長10メートルで、大きめの輸送用コンテナとほぼ同じくらいのサイズ。3月9日に仏領ギアナのクールー(Kourou)のギアナ宇宙センターから打ち上げられた。

 4月3日にISSに自動でドッキングし、7.5トンの物資や水、空気をISSに滞在する宇宙飛行士3人にもたらした。また、搭載したエンジンで数度の噴射を行い、大気の抵抗で高度が下がっていたISSを持ち上げた。

 欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)によると、「ジュール・ヴェルヌ」は、あらゆる予想を超える実績を残した。また、同ATVを制作した航空宇宙企業は、ESAに対し、同船を有人宇宙船に改造する計画を支援するよう要請したという。

■有人宇宙船に改造の声も

 ESAでは今後4機の無人補給機を計画している。1機の組み立てと打ち上げには、3億ユーロ(約450億円)の費用がかかり、次の打ち上げは2010年の予定。

 ATVの成功によって、ESA内では、同機を人間の輸送にも使用するプランがもちあがっている。ESAの幹部らは、オランダで11月25、26日に行う会合で、初めて同プランについて検討することになる。

 ATVを有人宇宙飛行船に改造するためには、断熱シールドを追加するなど大幅な改変がいくつか必要になる。また、同システムに対してくり返しテストを実施するために、ばく大なコストも必要となる。

 アナリストらは、同計画がESAの予算を圧迫する可能性もあり、ロボット工学を駆使した無人の宇宙船と比較した場合の有人飛行のコストの高さについて、議論を巻き起こすきっかけになるかもしれないと語った。(c)AFP