【9月10日 AFP】カナダ国立研究所(NRC)は前週、カナダ、フランス、米国の天文学者チームが発見した珍しい軌道を持つ小惑星が、彗星(すいせい)の起源を解明する手掛かりになる可能性があると発表した。

2008 KV42」と名付けられたこの小惑星は、逆方向に太陽の周りを公転しており、惑星の軌道面に対し104度とほぼ垂直に傾いていている。この事実は、「2008 KV42」が「オールトの雲(Oort Cloud)」から太陽系に引き込まれた可能性を示唆しているという。

「オールトの雲」とは、太陽系の外縁を取り囲んでいるとされる理論上の宇宙領域で、そこには数十億の彗星が存在していると考えられている。今回の発見により、オールトの雲からハレー彗星(Halley's Comet)のような彗星がどのように移動してくるのかについて解き明かすことができるかもしれないという。

 NRCによると、天文学者らは長期間にわたり、軌道が大きく傾いた太陽系外縁天体を探していたが、逆向きに公転する天体が見つかるとは予想していなかった。逆向きに公転する天体が存在することは、「オールトの雲」に関するいくつかの学説で指摘されていたが、実際に観測するのは極めて難しいことだという。(c)AFP