【8月18日 AFP】(19日 一部修正)17日に米ボストン(Boston)で開かれた米国心理学会(American Psychological AssociationAPA)の年次総会で、ビデオゲームで遊ぶことには良い効果もあるとする報告が発表された。

 総会では、ビデオゲームがプレーする人に与える影響に関する調査の結果が大量に報告された。中には、外科医がビデオゲームで遊ぶことで、手先の器用さや動きの早さを増し、またミスを少なくできるといった発表もあった。

■ビデオゲームをする外科医ほど「達人」

 発表者の1人、アイオワ州立大学の心理学者ダグラス・ジェンティル(Douglas Gentile)氏は「全体的に言えば、ビデオゲームが影響を持ちうる要素にはいくつかある」と述べ、内容、プレー方法、プレーの量などを要素として挙げた。「これから言えることはゲーム自体に善し悪しはなく、ただ強力な影響を与えるツールではあるということ。それ故にわれわれが予想できないような多くの効果をもたらしうる」。

 ジェンティル氏の発表の一つは、骨盤腔(こつばんくう)や腹腔の検査や処置に使用される腹腔鏡手術(ラパロスコピー)を専門とする外科医の協力を得たものだった。

 この調査では、腹膜鏡手術を行う外科医で、ビデオゲームで遊ぶことのある者とない者に差が出た。ゲームをすることのある外科医の27%が、高度な外科処置をより早く終了させることができ、手の動きのミスは37%少なかった。

■「向社会的」ゲームの好影響は「協力性」

 またアイオワ(Iowa)州の高校生と大学生を対象にした研究では、暴力的なビデオゲームをプレーしたときの社会的影響としてこれまでに知られていることが確認された。暴力的なビデオゲームで遊んでいた学生ほど敵対心が激しく、人を許しにくく、暴力を普通のことだとみなす傾向がより強かった。

 一方で「向社会的」ゲームで遊んでいた学生は、学校でけんかをしにくく、他の学生により協力的だった。

 さらに、フォーダム大学の別の研究では中学生程度の年齢層で、新しいビデオゲームを覚えることがもたらす問題解決能力への影響が調査され、認知・知覚能力が向上することが発見された。

 学会に参加した研究者らは「ビデオゲームの中には、手先の器用さや問題解決能力を高めたりと、プレーヤーのためになる効果をもたしうるものもある。ビデオゲームのこの特質は今回、学生たちに関する研究だけでなく、外科医を対象とした調査でも証明された」とまとめた。(c)AFP