【6月19日 AFP】メスのチンパンジーは可能な限り多数のオスとの交尾を求めており、また上位のオスを確実に引きつけるため、交尾中に鳴き声を上げない場合もある。英セントアンドルーズ大学(University of St Andrews)が18日、このような研究結果を発表した。

 研究チームは、アフリカのウガンダにあるブドンゴ森林(Budongo Forest)で16か月にわたり、メスのチンパンジーが交尾中に出す鳴き声について調査した。

 その結果、メスのチンバンジーは上位のメスが近くにいる場合、交尾していることを知られないために鳴き声を出さず、隠れて行っていたことが確認されたというが、恐らく優良なオスをめぐる争いを避けたいためだと見られている。

 一方、上位のオスが近くにいる場合には、ほかのオスを誘惑するため、メスは交尾中にたくさん鳴き声を上げることが分かった。

 研究チームによると、メスが複数のオスと交尾するのは、子どもの父親が分からなくなるようにして、オスが生まれた子どもを殺す可能性を減らすためだという。

 これに対しオスは、交尾中に鳴き声を上げた場合にでも、ほかのメスと競って交尾をする様子は見られず、またメスの生殖能力と鳴き声の関連性も示されなかった。

 研究チームは、メスのチンパンジーは状況によって柔軟に鳴き声を使い分け、ほかのメスからの攻撃を避けるため、また群れで主要な地位にあるオスから将来的に恩恵を受けるためにそうする可能性があると結論付けている。

 さらに、資源をめぐる競争から生まれる社会的な圧力が選択圧として働いており、それにより野生のチンパンジーは交尾中の鳴き声を使い分けるようになったという。(c)AFP