【5月29日 AFP】オーストラリア北西部の約3億8000万年前(デボン紀)の地層で、へその緒でつながった子を体内に持つ魚の化石が発見された。29日の英科学誌ネイチャー(Nature)で発表された。

 研究者らが「母親」と呼ぶ魚は、発見場所の地層を発見した有名な動物学者デービッド・アッテンボロー(David Attenborough)氏にちなみ「マテルピスキス・アッテンボローイ(Materpiscis attenboroughi)」という学名がつけられた。まったくの新種ではないが、脊椎動物の胎生の記録を2億年さかのぼる発見だという。

「母親」は体長約25センチで、絶滅した古生代中期(約4億2000-3億5000万年前)の板皮(ばんぴ)類と呼ばれる脊椎(せきつい)動物の一種だとされている。子どもが尾から先に生まれる点は、現代のサメやエイなどと類似しているという。

 主任研究員を務めたビクトリア博物館(Museum Victoria)のジョン・ロング(John Long)博士は「この発見はこれまでにない驚くべきもので、脊椎動物の進化についてのわれわれの理解を変えるものだ」と語った。

 研究に加わった別の研究者も「胎生が卵生と同じ時期に起こっており、この2つは連続して起こったというよりも同時に起こっていたということが明らかになった」と指摘する。

 また、体内に胎児やへその緒が見つかったことで、交尾による「体内受精」を行っていたことも初めて裏付けられたという。

 当初はヒレに隠れていたため、胎児やへその緒はまったく気付かれていなかったが、調査の最終段階で発見されたという。(c)AFP/Marlowe Hood