【5月28日 AFP】米農務省は、従来の虫よけ剤の成分「ディート(DEET)」よりも3倍強力な新成分をいくつか発見したとする論文を26日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表した。

 同省が50年以上前に開発したディートはさまざまな虫に効く虫よけ剤として使用されてきたが、蚊が媒介するマラリアなどの病気の蔓延は防げず、ディートを塗っても蚊に刺されるといった問題点があると論文は指摘。同省は、もっと多くの種に対しもっと効き目のある成分を見つけることが肝要だとしている。

 1940年代には化合物4万個の中から有効成分ディートを探し出す作業に10年を要したが、今回同省の科学チームが行った研究では、コンピュータープログラムにより、化合物2000個からの絞り込みをわずか数か月で済ますことができたという。このプログラムは、当該成分の化学構造と虫の受容体の情報を基に、成分の蚊に対する有効性を予測するというものだ。

 最終的に絞り込まれた34個を人体に対して実験したところ、ディートの効き目が17.5日持続したのに対し、うち7つの成分の効き目は最大で73日持続したという。

 科学者らはこれら「新生代ディート」候補の7つの成分の効き目について、調査を続けたいとしている。(c)AFP