【2月2日 AFP】米国とイタリアの動物学者がタンザニアの奥地で新種のハネジネズミを発見した。英動物学会誌Journal of Zoology2月号に研究成果が掲載される。

 ハネジネズミは林床に生息する全身を柔毛で覆われた小型哺乳類で、昆虫を主食とする。鼻が長いことから、ゾウトガリネズミ(elephant-shrew)とも呼ばれる。

 これまでハネジネズミは15種が確認されていた。今回新たに発見されたハネジネズミは、grey-faced sengi(学名:Rhynchocyon udzungwensis)と名づけられ、非常に珍しい種だという。

 発見者は、カリフォルニア科学アカデミー(California Academy of Sciences)のガレン・ラスバン(Galen Rathbun)氏と、イタリア北部トレント(Trento)の自然科学博物館のフランセスコ・ロベロ(Francesco Rovero)氏。

 ハネジネズミを30年にわたり研究してきたラスバン氏は、プレスリリースの中で次のように述べている。

「わがキャリアで最もエキサイティングな発見です。大型のハジネズミの新種が発見されるのは126年以上ぶりとなります。写真撮影用のテントで初めて腕に抱いた瞬間から、これは新種に違いないと確信していました。外見も非常に特徴的ですが、その重さからすぐにわかったのです!」

 その外見的特徴とは「ほかのハネジネズミとは異なる灰色の顔に、真っ黒なお尻」だそうだ。体重は700グラムほどでほかのハネジネズミに比べ25%ほど大きい。
 
 Rhynchocyon udzungwensisが最初にその姿をカメラにとらえられたのは2005年のこと。ロベロ氏がタンザニアのウズングワ山脈地帯(Udzungwa Mountains)に広がるNdunduluの森林に設置していたカメラが撮影した。

 2006年3月、両氏は2週間の日程で現地調査を実施し、4匹を捕獲、40匹の生息を確認した。ただ現在まで300平方キロを探索して2つの集団しか確認できていない。

 ハネジネズミは一夫一婦制で、アフリカのみに生息する種。かつての科学者がその外見からジネズミの一種と判断し、またゾウのように長い鼻を持つことからゾウトガリネズミと名づけた。

 しかし近年の分子生物学の研究から、ジネズミよりもむしろゾウやアリクイに近い種で、1億年以上前に進化したアフリカ獣上目(Afrotheria)と呼ばれる哺乳類に属することが明らかになっている。(c)AFP