2007年12月17日、米航空宇宙局(NASA)が公開した、左下のブラックホールから噴出されたジェットが右上の銀河を直撃する様子を示した写真。この写真は、複数の波長を合成したもの。天文衛星チャンドラ(Chandra)が観測したX線は紫色、ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)が収集した光学・紫外線データは赤色とオレンジ色、電波望遠鏡Very Large Array(VLA)とMERLINが観測した電波放射は青色で示され、ブラックホールから近くの銀河に向かってジェットが噴出される様子がとらえられている。(c)AFP/NASA
【12月18日 AFP】(一部更新)米航空宇宙局(NASA)は17日、ブラックホールから大量放出されたエネルギーと放射線のジェット噴流が、近くの銀河を直撃している現象が初めて観測されたと発表した。
この現象は地上と宇宙のNASA観測基地で記録された。「デススター」となったブラックホールが隣の銀河に放射線をジェット噴出し、銀河はほとんどのエネルギーを反射して輝いて見える。
研究チームを率いるハーバード・スミソニアン天体物理学センター(Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics)のダン・エバンズ(Dan Evans)氏は「ブラックホールが作り出すジェットはたくさん見てきたが、このようにほかの銀河を襲っているのは初めて見た。ジェットを浴びせられた小型の銀河ではあらゆる問題が起きているかもしれない」と話す。
NASAによると、今回の現象は銀河系「3C321」で観測された。この銀河系では2つの銀河が互いの周りを周回しており、その間隔はわずか2万光年しか離れていない。ブラックホールは大きい方の銀河にあり、放射線と粒子、特に高エネルギーのX線とガンマ線のジェットを噴出。小さい方の銀河がその噴流のただ中に移動している。
この衝突はNASAの天文台が観測し、小さい方の銀河のへりの、ジェットが当たった部分が明るくなっている様子を写真にとらえた。
■新しい星の誕生も
この現象は、宇宙的スケールで見ればそれほど長く続いているものではなく、NASAによれば「ジェットが銀河に影響を与え始めたのはおよそ100万年ほど前であり、銀河系の寿命に比べればごく短い期間にすぎない」という。
ジェットの直撃を受けた銀河には相当の影響が及ぶ可能性があるが、必ずしも悪い影響ばかりではない。
「ジェットからのエネルギーと放射線の大量流入により、最初の破壊的影響が収まった後は、多数の星と惑星の形成が促されるかもしれない」とNASAは述べている。(c)AFP









