【10月26日 AFP】(一部修正)現生人類に最も近い近縁種とされるネアンデルタール(Neanderthal)人の外見は白い肌で赤毛だった可能性があるとする研究報告が25日、米科学雑誌サイエンス(Science)誌に発表された。

 研究報告によると、スペイン北部のEl Sidron遺跡とイタリアのMonti Lessini遺跡で発見されたネアンデルタール人の化石から採取されたDNAサンプルを分析した結果、ネアンデルタール人のMC1R遺伝子に突然変異が起きていたことが判明したという。 

 MC1R遺伝子は、肌や髪の色を決めるメラニン色素の生産に関わるタンパク質を作る遺伝子。突然変異が起きると活性が弱まりメラニン色素も少なくなり、白い肌や赤毛になる。現代のヨーロッパ系人種の一部は、このMC1R遺伝子の突然変異によって赤毛と白い肌になったと考えられている。

 ネアンデルタール人の遺伝子にみられる突然変異は、人間の遺伝子のものとは異なるが、ネアンデルタール人の遺伝子を試験管の細胞に挿入した結果、現代人の遺伝子と同様にメラトニン合成に影響を与えることが確認されたという。

「古生物学者は、20年前からネアンデルタール人の肌が白かったと推測していた」と指摘する専門家もいる。白い肌は、より多くの中波長紫外線(UVB)を透過させ、その結果ビタミンDの合成が促進される。このため、高緯度地域の北欧に生息していたとされるネアンデルタール人にとって、白い肌は環境適応に必要なものだったとされている。(c)AFP