【10月19日 AFP】米国人、ロシア人、マレーシア人の宇宙飛行士を乗せて10日、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地(Baikonur Cosmodrome)から国際宇宙ステーション(International Space StationISS)へ飛び立ったロシアの宇宙船ソユーズ(Soyuz)は、世界平和の象徴と言えるだろう。

 バイコヌールで補欠要員として待機していた米国人のマイケル・フィンケ(Michael Fincke)宇宙飛行士は、同僚のロシア人宇宙飛行士と乾杯しながら、「宇宙にもさまざまな人種がいたほうがいいですから」と語った。

 米国側の関係者らはロシア宇宙開発計画の成功をたたえているが、一部の専門家の間では、宇宙開発における今後のロシアの立場に懸念の声も聞かれる。

 専門家らは、米国によるミサイル防衛システムの東欧配備問題、ならびにロシアの経済力と外交力の回復が、宇宙開発における米露の協力関係を妨げるのではないかと考えている。
 
 半世紀にわたりロシアの宇宙開発の中心であり続け、老朽化が著しいバイコヌール宇宙基地の寿命が残り少ないとの指摘もある。同基地は、人類初の人工衛星打ち上げと有人宇宙飛行を成功させてきた。

 米国は、ロシアが宇宙科学研究の基盤であるISSへのシャトル発着の回数を増やすことに期待を寄せている。スペースシャトルが2010年に引退し、新たな宇宙船が完成するのが2014年となるためだ。

 ロシア側もこの期待に是非応えたいとしている。宇宙船を製造するRKKエネルギア(RKK Energia)のAlexander Derechin氏は、2009年からソユーズの打ち上げ回数を従来の倍の4回に増やすほか、2015年までに現在計画中の6人乗りの宇宙船によって年10回の打ち上げを実現したいと述べた。

 ロシアは今月、米国と新たな協定を結び、月と火星での水の存在を研究するための惑星探査用のローバーを提供する。

 1990年代に、老朽化したソ連製の宇宙ステーション「ミール(Mir)」の廃棄作業を米軍に手伝わせてしまった屈辱は、記憶のかなたに追いやられているようだ。(c)AFP/Nick Coleman