【10月9日 AFP】(一部訂正)マレーシア人初の宇宙飛行士を乗せ宇宙に飛び立つロシアのソユーズ(Soyuz)ロケットが8日、カザフスタンのバイコヌール(Baikonur)基地で発射台につき、打ち上げ準備を完了した。

■マレーシア初の宇宙飛行士は医師兼モデル

 マレーシア、ロシア、および米国の国旗が描かれた全長50メートルのロケットは、朝日が差す中を格納庫からゆっくりと列車で5キロ離れた発射台に移動した。

 ロケットが警官に護衛され発射基地へと移動する間、マレーシアのエンジニア、Shankini Doraisingamさんは「ここまでこれたことが信じられない。マレーシアの国旗と紋章のついたロケットを見るのは感動的だと」と話した。

 マレーシア人初の宇宙飛行士となるSheikh Muszaphar Shukor氏の本職は医師で、副業としてモデルも務める。地球の軌道を回る国際宇宙ステーション(ISS)に向けて、ロシア人のユーリ・マレンチェンコ(Yuri Malenchenko)飛行士、米国人のペギー・ホイットソン(Peggy Whitson)飛行士とともに飛び立つ予定。 

■宇宙でラマダン月を過ごすイスラム教徒の断食は?

 Muszaphar飛行士は、「ISSの中でも、イスラム教のラマダンの断食月の習慣を続けたい」と発言し、注目を浴びた。 

 ISSは1日16回地球の軌道を周回するため、厳密に言えば、イスラム教の1日5回の祈りは80回になり、昼間は断食して夜に食べるというラマダン期間中の習慣が混乱する可能性がある。このためマレーシアの宗教当局は、ISS滞在期間中のイスラム信者としての過ごし方についてガイドラインを設定した。

 マレーシアのラマダン明けとなる12日、Muszaphar飛行士はイスラム教の伝統的なビスケットなどを同僚の2人の飛行士に振る舞うという。

■ガン細胞の治療に関する科学実験も

 予備宇宙飛行士のFaiz Khaleed飛行士によると、Muszaphar飛行士は少し緊張しているものの、宇宙での科学実験に神経を集中しようとしているという。

 今回の科学実験の1つは「人体内で3次元方向に成長していくガン細胞が、それとよくにた宇宙の無重力状態の中で治療にどう反応していくのか、それを観察すること」だと、プロジェクト責任者のZulkeffeli Mat Jusoh氏は語っている。

 マレーシアはロシアからの戦闘機購入費の一部として、今回の宇宙飛行の費用をロシアに支払うことになっている。(c)AFP