【9月25日 AFP】サルモネラ菌が宇宙空間を移動すると食中毒や腸チフスなどを引き起こす毒性が高まることが、スペースシャトル「アトランティス(Atlantis)」の実験で明らかになった。24日付けの米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に研究結果が掲載された。

 アリゾナ州立大学(Arizona State University)の微生物研究チームは2006年9月、サルモネラ菌の入った容器をスペースシャトル・アトランティスに積載。宇宙飛行が細菌の病原力にどう作用するかを実験した。

 研究チームは、アトランティス号とともに数百万キロにわたり宇宙空間を移動したサルモネラ菌に、ある種の遺伝子パターンの変化が見られることを発見。この菌と、地球上で培養した菌をマウスに投与した。その結果、3週間後のマウスの生存率は、地球上のサルモネラ菌を投与されたマウスで40%だったのに対し、宇宙から帰還した菌を投与されたマウスではわずか10%だった。

 実験を行ったシェリル・ニッカーソン(Cheryl Nickerson)氏とジェームズ・ウィルソン(James Willson)氏は、この研究によりサルモネラ菌を含む細菌の実態がさらに明らかになり、新たな治療方法開発への道が開かれるだろうと語った。

 同様の実験は、2008年のシャトル飛行でも行われる予定という。(c)AFP