【9月13日 AFP】太陽光をエネルギー源とする超軽量航空機「ゼファー(Zephyr、そよ風の意)」が、無人連続飛行時間の世界記録を更新した。製造元の英防衛機器キネティック(QinetiQ)が10日、明らかにした。

「ゼファー」は翼幅18メートル、重量わずか30キロと超小型。日中は翼に搭載されたソーラーパネルによる太陽光発電で駆動し、充電式リチウム硫黄電池に蓄えた電力を使って夜間も飛行できる。

 今回の飛行実験は、英防衛省の資金援助を受け、米アリゾナ(Arizona)州ニューメキシコ(New Mexico)にある米軍のホワイトサンズ・ミサイル射場で行われた。

 1回目の飛行で30時間24分の記録を出し自己最高記録を更新した後、2回目の飛行で連続飛行時間54時間を達成。米空軍の無人偵察機が6年前に打ち立てた33時間43分の記録を上回った。

 ただし、この飛行実験には正式な監視員が立会っておらず、今回の記録は正式な世界記録としては承認されない可能性もある。

 この点について、「ゼファー」の開発を担当したPaul Daveyさんは、「飛行実験結果を無人航空機専門誌UAV年報で発表し、記録を確定させたい」と語っている。「雷雨や猛暑に見舞われる夏季のニューメキシコ砂漠地帯の過酷な環境条件のなかでも、ゼファーが2回とも最高記録を達成していることに注目してほしい。今回の実験で太陽光発電による無人航空機が軍事目的利用にも耐えうることを証明された」

 キネティクは「ゼファー」の利用分野として、上空からの地球観測や防衛分野における通信中継などを挙げている。(c)AFP